善悪の彼岸

ノリと勢いでフランスに来たエンジニアがフランスでの生活について書くブログ。週2更新(なるべく)。

30代からの海外大学院留学が意外とオススメだと思う理由

現在私はフランスのコンピエーニュ工科大学でUXデザインの修士課程(M1)に所属している。33歳で、日本で情報工学修士を取っているので2つ目の修士課程、受講するコースは全てフランス語のコースである。全然わからないフランス語に悪戦苦闘しながらも入学して3ヶ月弱が経った。正直、語学面が足かせになりすぎて厳しいことが多いが、全体としては良い選択肢だったと今のところは思っている。今日は30代からの海外大学院留学がオススメな理由をいくつか挙げていこうと思う。

 

金銭的余裕がある

まず、20代で留学するのに比べて金銭的余裕があるのは大きい。というか私の場合は留学費用を貯めるために数年会社で働かないと無理だったという方が正しいけども。。。もし成績が優秀で20代のうちに行きたい国の言語のスコアをある程度取れている場合は20代に行くほうがいいとは思う。なぜなら多くの奨学金は年齢制限が設けられているからである。私の場合は日本での学部、修士のGPAが普通の人よりも凄まじく悪く返済不要の奨学金に応募する発想すらなかった。よって、ヨーロッパの中でも授業料が安いフランスを選んだ。ただ、これは負け惜しみかもしれないが、奨学金をもらって来ている人より自費で来ている人の方が覚悟が決まっている気がする。

 

それまでの経験が活きる

30代だと既に社会人経験がある人がほとんどであると思う。これも案外他の学生との差別化要因になる。修士課程の場合、周りの学生は大方20~23歳位である。自分もそうであったが、課題に対して期日を守るとか、計画性を持って課題に取り組むといった基本的なことができていない学生もいる。また、これはヨーロッパに特有なのかもしれないが、プライベートを大事にする風潮があるので、与えられた課題に対して全力で取り組まない(あくまで授業の時間だけ頑張る)学生もそこそこいる。そうなると元々ハードワーカー気質である日本人社会人は有利だと思う。

 

 

全く違う業界の知識が手に入る

個人的にはこれが一番良かった。元々私の専攻はエンジニアリングであり、デザインには興味があったものの少し自分で独学することに留まっており、限界を感じていた。フランスの大学院は就職予備校としての側面があり、プロとして卒業後にやっていくためにかなり実践的なカリキュラムが組まれている。周りの学生も皆デザイン業界で働きたい人たちなので、なんとなくその国の業界の雰囲気や常識を知ることが出来る。よって、違う業界にキャリアチェンジしたり、海外で働いてみたい場合は、まずその国の大学や大学院に入ってみるというのはかなりアリな選択肢だと思っている。現地の大学院を経ることにより語学を学ぶ時間稼ぎもできるし、現地の高等教育機関の学位を持っているとビザの面で有利になることもある。(フランスでは現地の大学や大学院を卒業するとその後1年間現地で就活するためのビザがもらえるらしい)また、現地の会社へのインターンが卒業要件に入っていたりするので現地就職を狙いやすいと思う。

プロのデザイナーとして働いている大学の卒業生たちが毎週講義してくれる授業

 

語学が伸びる

当たり前だが、大学院のプログラムは英語かその国の言語で提供されるので、膨大な量の外国語を毎日浴びることになる。また、フランスの場合ではあるが一つの授業の中でほぼ確実にグループワークがあるので、否が応でも英語やフランス語を喋り、議論する必要がある。このハードルは正直非常に高いし私も毎日苦しんでいるが、昨今のAI翻訳ソフトの発達により授業をリアルタイムで日本語に翻訳できるため、大分ハードルが下がっている気がする。最初はAI翻訳にも助けてもらいつつ、必死で勉強して語学力を伸ばすというのは割とアリなのではと思っている。私も独学でフランス語をやっていた時に比べて、大学院に入ってからのほうがフランス語上達の速度が間違いなく上がっている。

スライドの全部フランス語なので、毎回Googleレンズで翻訳して理解している



国際的な人脈が広がる

海外の友達ができるのも非常に良いポイントである。特に30代での海外留学は日本ではあまり多く見ないが、海外に出てみると同じような人たちがたくさんおり、意外と普通のことなんだなぁと思うことができた。同じような海外から来た留学生とは、素直にお互い頑張ろうと切磋琢磨できるし、現地の大学生と関わるのもとても新鮮で楽しい。私は基本的にコミュ障で自ら友達を作りに行くのが苦手なのだが、他の学生とは授業で強制的に関わる必要があるので、普通に授業を受けていれば友達ができる。

他の国からの留学生たちとパーティした。(みんな30代以上)

何か一つでも今までの経験が活きる、勝ち筋があると思う場所に飛び込むのは重要かもしれない

30代で海外留学を行うのに一つ注意点があるとすれば、自分なりにここは勝ち筋があるなと思えるコースに飛び込むということがある。このブログで何度か紹介している「クランボルツに学ぶ夢の諦め方」や「人生の経営戦略」にもどこかで勝ち筋がある場所に飛び込む重要性が書かれていたと思う。

 

私はデザインについてはほとんど無知であったがソフトウェア開発の知識については今までのキャリアでそこそこ持っていた。なので語学力やデザイン知識では他の学生に全く太刀打ちができないが、開発的な知識が必要な場面では私の力が活きるのではと思っていた。実際、授業ではUnityやJavascriptなどの知識が必要になる時があり、そういう時にはそこそこグループの役に立てている。また、現在の生成AIの隆盛によりデザイン一本で食べていくことはかなり厳しくなっていくだろうなという気がしており、デザインもできて開発もできればまだ食べていくことが出来るかもしれないと思っている。この前、大学向けの就活イベントに行ったのだが、UXデザイナーの職を応募している企業はかなり少なくあまり話を聞いてもらえなかった。しかし、私が情報工学修士を持っておりソフトウェア開発の職も視野に入れていると伝えるとインターンの案内を出してくれた企業がいくつかあった。そんな感じで、過去の経験が活きつつ、新しい知識や経験を得られるような進学先を見つけることが30代の海外留学において大事なことではないかと考えている。

 

以上。