最近、MUJINA INTO THE DEEPという漫画を読んで、これがとても面白かった。
作者は「おやすみプンプン」で有名な浅野いにお氏で、私はおやすみプンプンを高校生の頃に読んで、それからずっと好きな漫画家さんである。特に少し前にアニメ映画化した「デデデデデッドデッドデストラクション」が私のお気に入りで、短編系だと「勇者たち」も好き。
浅野いにお作品の魅力
浅野いにお作品の魅力は現実の社会に一つ嘘を混ぜ込むのが上手いところにあると思っている。デデデデデッドデッドデストラクションは、東京の上空に突如巨大なUFOが現れたが、何をするでもなく数年経ち、誰もがその光景に慣れてしまった世界で過ごす女子高生が主人公の物語である。そういう大胆な嘘を取り入れながらもそこで描写される人物たちはとてもリアルである。UFOから漏れ出す電波、通称「A線」に怯える人。UFOを軍事利用しようとする企業や国家。UFOがある世界に慣れてしまい普通に暮らす人々など、こういう人現実にもいるよなぁ、と思いながらスラスラ読めてしまう。そういう現実世界のパロディのような人物描写が浅野いにお作品の魅力だと思う。
また、現実で起きている出来事と重なるようなストーリーもとても好きである。デデデデは震災や日本人の事なかれ主義、多様性がモチーフになっている感じがするし、MUHINA INTO THE DEEPは東横界隈や、現在大炎上中のエプスタイン事件を意識して描かれていると思う。そのような現実の出来事や風潮、思想が色濃く描かれ、そういう問題に対してある側面でのアンサーや見解を漫画を通じて表現しようとしていると感じる。この若干の政治っぽさが受け付けない人もいるかもしれないが、私は大好きである。ちなみにフランスでも浅野いにお作品はかなり人気。
MUJINA INTO THE DEEP
そんな浅野いにお氏の最新作が「MUJINA INTO THE DEEP」である。日本政府から「ライツ(人権)カード」が全国民に発行された世界。何かの事情でライツカードを持てなかった人間は非人権者(ムジナ)として差別され、表社会では生きることができなくなっていた。そんなムジナに目をつけたのが企業である。彼らを傭兵として雇い、ライバル企業の人間を暗殺したり、逆に他企業のムジナから自分を守るためにムジナをボディーガードとして雇うのである。ムジナ達はCB(クリーンブースター)と呼ばれる精神薬によって運動神経を拡張し、刀を振りかざして東京の夜を駆けるのであった...
設定だけでめっちゃ面白そう。


登場人物ほぼ社会的弱者、人権とは何か?
この漫画、登場人物がほぼ社会的弱者である。主人公のウブメは記憶をなくし、暗殺者として生きるムジナであり、ひょんなことからウブメを助ける男テルミも見た目は白人のハーフながら日本で生まれ育った零細ゲームメーカーの社長だ。
準主人公のジュノもいじめをきっかけに上京してくるが売春組織にだまされ人権カードを奪われてしまった少女である。

みんな社会に不満を持ちながら現状を変えることができない人たち。そんな社会だからこそ夜な夜な権力者を日本刀で一刀両断にするムジナは自由の象徴なのである。実際は彼女らも企業に雇われている暗殺者であり、社会の仕組みから抜け出せていないのだが。そこも含めてディストピアな世界観である。
現在5巻まで発刊されており、絶賛連載中である。雰囲気的にあと2巻くらいで終わりそうな感じもある。とても面白いので是非読んでみてください。ちなみにマンガワンでも読めるので気軽に読んでみてください。

