善悪の彼岸

社会人5年目、ものづくりと哲学と研究が好き

【組織論】めざせポケモンマスター【JOB型雇用】

最近、大企業の間ではでOB型雇用とか言って今までの日本的なメンバーシップ型雇用から、西欧のような個々のスキルを重視したJOB型雇用に移ろうという流れがある。

 

この流れにとても違和感を感じるので、今回はそれについて書いてみようと思う。

あくまで私個人が感じたことでかなりの偏見が入ってると思うのでご承知おきください。

 

日本の働き方はポケモン、西洋の働き方はドラクエ

ポケモンゲットだぜ〜!!!

 

日本企業はポケモン的世界観

サトシのポケモンたちといっしょに『ポケットモンスター ソード・シールド』でバトル!|ポケットモンスターオフィシャルサイト

私は典型的なJTC電機メーカーでソフトウェアエンジニア()として働いて5年になるが、大企業での働き方ってポケモンの世界観みたいだなと思う。

そう思うのは以下のポイント

 

  • 大企業側は自分ではコーディングや図面を書くことはせず、肝心なところは協力企業にやってもらう
     → ポケモントレーナーは戦わず、戦うのはポケモン
  • 仕事を作り、人月管理する業務に追われる
     → ポケモンを育てるには戦わせてレベルアップさせる、回復させるなど雑多な仕事が必要
  • 専門性が高い人間が出世するのではなく、管理するのがうまい人間が出世する
     → ポケモントレーナーポケモンを強く育てられることが唯一の価値
  • 謎にリーダー研修が多い
     → ポケモンマスターに育ってもらうための施策
  • コミュケーション能力や人を見る目が大事
     → トレーナーは使えるポケモンを厳選しなければならない

 

西欧企業はドラクエ的世界観

毎月10日はDQXで遊ぼう! ~DQコスプレパーティ!~ (2018/8/10 更新)|目覚めし冒険者の広場

 

外資から転職されてきた方からお話を聞く限り、ヨーロッパやアメリカのJOB型企業はドラクエみたいだなと感じる。

そう思うのは以下のポイント

 

  • 個々人が強い専門性を持っており、仕事でそれらを発揮する
     → メンバーごとが勇者など職業を持っており、自分でモンスターと戦う
  • 期待されているのは役割に対してのパフォーマンスのみ
     → 自分の職業の上で強いことが一番の価値
  • リーダーの専門性が高く、現場を経験したプレイヤーがマネージメントを兼ねる
    → 強いキャラがリーダーになる
  • 自分たちの仕事を効率的に回すために、開発環境を整える
     → 強いモンスターを倒すために強い武器を手に入れる

ポケモン的仕事の問題点

多くのポケモンは借りポケモン

一番の問題点は、多くの場合育てたポケモンが借りポケモンだということだと思う。大体、プログラミング等の実作業は協力会社に外注である。

なので、いくらトレーナーがポケモンをレベルアップさせようと、社内に技術が貯まるわけではない。

親会社は金を払って協力会社のポケモンを育てているのである。(しかもいつ逃げるかはわからない)

 

何故かポケモントレーナー側の会社の環境が良い

また、環境という意味でも違和感を感じている。親会社側の開発環境や研修制度は整ってるが、社内常駐の方のPCはショボいみたいなことってあると思う。

これもサトシが強いアイテムを持って戦う装備をしているみたいな違和感を感じる。サトシが武器を持つ必要はない。戦うのはポケモンなんだから。ポケモンに技を覚えさせろ!他社のポケモンだけど・・・

 

ポケモンになりたくて入ってくる新入社員

ものづくりが出来ると期待して入ってくる新人にとってもアンマッチである。(かくいう私もそんな感じ)ポケモンとして色々な技(プログラミングスキル等)を覚えるぞ!と思って入社してきたらポケモントレーナーとして管理業務をさせられる。結果、すぐに退職したりモチベーションが落ちる。 

 

結局生産性はポケモン次第

いくら名トレーナーがいてもポケモンが弱ければバトルには勝てない。結局生産性の高さはポケモンの強さによって決まるのである。なのでトレーナー達(各企業)は必死に強い野良ポケモンを探すことになる。また、現実世界で野良ポケモンを捕まえてくる場合、いかに金を使って有能なポケモンを持ってこれるかによるのでパーティの強さが不安定かつ運ゲーとなる。(ドラクエならそこそこのパーティーでも、戦略によっては勝てるかもしれないが、ポケモンの世界でポケモントレーナーだけ集まっても戦いにならない) 

 

ポケモンドラクエに移れるけどポケモントレーナードラクエに移れない

強いポケモン(強い専門性を持った技術者など)はドラクエ的西洋世界でも生きていけるだろうが、ポケモントレーナー(管理ばっかりしている人)は自分で戦えないのでつぶしがきかない。ポケモントレーナーポケモンの世界観でしか生きられない。まぁ一部の名トレーナーは生きていけるかもしれないけど・・・。

結論:日本企業がJOB型を取り入れるというのはポケモントレーナーが技を覚えること?

違和感の正体はここである。

ポケモンではサトシは指示を出すだけでピカチュウのように電気ショックなどの技は出せない。JTCも一緒で、結局コードを書いたり図面を書いたりするのは国内外の協力企業で、私達はぶっちゃけ指示を出しているだけである。

そこでスキル偏重の雇用システムにするのは、サトシにわざマシンで技を覚えさせる、みたいな違和感を感じる。

またポケモン目線から見ても悲惨である。

どんなに専門性を高めて転職をしてきたとしても、基本的に日本の大企業はポケモンマスターを育てる会社なので、あまり報われない。

 

スペシャリスト(ポケモン)をマネージャー(ポケモントレーナー)と同等の待遇、もしくはそれ以上の待遇にしようという流れはあるが、周りを見ててもあまり上手く行ってないように感じる。(筆者の周りでは、強い専門性を持ち仕事ができるスペシャリストの方で、のびのびと日本の大企業で自分の仕事ができている人をあまり見ない。だってポケモンポケモントレーナーの業務をお願いするんだもの。)

 

目指せポケモンマスター(?)

日本企業が求めるべきは強いスキル(専門性)を持ったポケモンではなく、ポケモンを率いた経験がある(いくつもPJをけん引したことのある)ポケモントレーナーなんじゃねえか?

それとも今からドラクエを始めるんだろうか。(内部のポケモントレーナーポケモンに進化させる?)

今からドラクエを始めるのはどう考えても無理があるので、私の考えではポケモンを内部で抱えるのが一番だと思う(内製開発するとか)

 

私個人は、ポケモントレーナーとして育つと世界を舞台に戦えない気がするので、ポケモンとして育ちたいものである。なんかこうリザードン的な。