善悪の彼岸

社会人5年目、ものづくりと哲学と研究が好き

大企業で5年間働いてた人間がベンチャーで働いてみて驚いたこと

 

12月にメーカーを退職して、3月からベンチャーのお手伝いをしている。大企業とベンチャーの働き方の違いについて少しわかってきたと思うのでちょっと書いてみようと思う。

 

ちなみに私が大企業と言ってるのは、従業員が数十万人くらいのメーカーで、ベンチャーと言ってるのは従業員が10人くらい(うちほとんどが業務委託)のかなり初期のフェーズのベンチャー企業である(事業はWebアプリ開発)。ちなみに私も業務委託で関わっている身なので、そこはご承知おきください。

 

ビジョン/モチベーションについて

誰も取りこぼさないように進める大企業

やはり大きな組織の中で、何かを行うには、全員の意志を統一することが一番大事である。よって、偉い人は誰もが納得するビジョンを提示することが求められるし、誰も置いてきぼりにしないように中間管理職の人が1ON1ミーティングなどで情報を下に伝えていく。私が以前いたメーカーでも、対話が非常に重視されていた。しょっちゅう、偉い人たちからの「今後の方針」的な話は合ったし、1ON1ミーティングも月2くらいで開催されていた。よく話は聞いてもらえたと思うし、自分も色んな不満や提案を話してたし、組織としてコミュニケーションをとても重視していることが伝わってきた。なぜそれをやる必要があるか?が皆気になっていたと思うし、みんな経営層が決めたことに対して色んな意見を持っていたと思う。

 

ビジョンはCEOが決めるもの、のベンチャー

対してベンチャーではビジョンはCEOが決めるものであり、周りの人はCEOが目指すビジョンをどう叶えていくか?は気にするが、ビジョン自体にはあんまり突っ込まない気がする。ビジョンを提示するものと、実行するものがカッチリ分業されている。ビジョンを提示して周りに実行してもらうだけのリスクと責任を負っているのはCEOだとみんな分かっているから、というのもあると思う。

なので作業側としても、社長の「こうしたい!」という方針に対して、そうやりたいならこういう技術を使ったほうが良いですね、こういうプラットフォームにしましょうみたいな形で貢献することになる。こういう形での貢献が意外と楽しいし、嫌じゃないと思えたのがベンチャーを手伝ってて自分自身驚きだった。

 

評価面

誰がなぜ評価されるのかよくわからなかった大企業

人数が多いので誰が何をしているのか?どれくらい貢献しているのか?自分がどれくらい貢献できているのか?が分かりづらい。私が働いてた時は「本当に私はこれだけの給料もらえるくらいの価値を生み出せているんだろうか?」という疑問が常にあった。ただ逆を言えば対して価値を生み出せてないな〜と思ってても周りとそう違わない給料がもらえるわけで(しかも世間的にも悪くない金額の)労働者側からするとコスパが良い。

 

また、評価される人という意味では、先も述べたように多くの人をコミュニケーションで動かすのが必須となるため、認められるためにはある種のカリスマ性も必要になる。よく、声がでかいやつが偉くなる、というが、言ってることの正しさは別として、良くも悪くも相手を納得させることができる人が偉くなると思う。

 

コミットに応じて評価されるベンチャー

それに対してベンチャーではそもそも人が少ないので、誰が何をやっているかはだいたいわかる。また、GithubやBacklog等のサービスによって、誰がどれだけのタスクをこなしたか、コードを書いたか(貢献したか)が一目瞭然である。そして、その貢献度合いによってもらえるお金も変わってきたりするので納得性が高い(今のところ)。私はこれだけの時間でこれくらいのコードを書いたからお金はこんなもんか~みたいな感じである。自分の働きがお金に直結するのでとてもシビアである。だがこれも裏を返せば圧倒的な技術力で単位時間あたりの成果を増やせればもらえるお金を増やせる可能性があるわけで、ベンチャーが技術志向が強い意味がわかった気がする。

 

仕事の進め方

なぜそれをやるのか?説明を尽くすことを求められる大企業

上でも書いたが、やはり全員が納得した状態で取り組む、ということが非常に重視されていたと思う。なにか新しいことをやろうとしたら、関係者全員が納得できるロジックが求められる。何をやるにしても関係する人数が多いので決断も重くなる。アイデアのメリットとデメリットを皆で総合的に判断して、やるかやらないかが決まる。当然、主要な関係者のコンセンサスを取ってからのアクションになるため会議も多い。

 

ほう、やってくれるんだ、ええやん。で?いつまでにやれるの?のベンチャー

基本的に大企業ほどリソースがないので、相手のことを信頼するのが前提となる。疑惑の目を向けてると、チェックに時間を取られて仕事が回らないからである。まあ多分正しいんだろう、という前提で仕事が進む。なので、基本的にやってくれてありがとう!という感謝の言葉が多くなる。ただ、一人が動かないだけで仕事全体に支障が出るので、プレッシャーはでかい。また、経営者側からしても会議をする=会議に金を払うことになるので、無駄な会議も少ない。今だと会議も30分から1時間のオンライン会議が週2で開催されるくらいだ。それでも仕事がちゃんと回ってるのは、毎日あらゆる会議で忙殺されていた身からするとかなり驚愕である(まぁそもそも従業員の人数と事業の規模が違いすぎるんだが)

 

 

これ以外にも、色々あるのでまた書こうと思う。結局どっちが良いの!?という話については正直まだわからない。かなり世界観が違うことは確かだと思う。今のところは色んな世界があるんだなぁと、新鮮に受け止められている。