善悪の彼岸

社会人5年目、ものづくりと哲学と研究が好き

絶望の中に生きるのが面白い【岡本太郎の「自分の運命に楯を突け!」を読んだらマジで最高の一冊だった】

お久しぶりです。

最近はコロナになって寝込んだり、一週間くらいスマホ漬けで引きこもったりしつつもフランス渡航に向けてビザが取ったり、語学学校申し込んだり、ソフトウェア開発の仕事を細々と続けてたりしました。

 

さて、いよいよ9月1日にフランスへの渡航が迫り、「俺、なんのためにフランス行くんや?」「32歳で会社辞めて頭おかしくない?」など、今まで散々考えたはずの事についてグダグダと考えていたらうつうつ状態になってしまいました。一応「博士課程に行きます(キリッ」と大見得を切って会社をやめたものの、まぁ調べれば調べる、受けてみるほどイケる気がしねえのであります。そんなときに、岡本太郎の「自分の運命に楯をつけ!」という本を読んでみたらなんか元気が湧いてきたので共有です。

 

岡本太郎とは

ja.wikipedia.org

岡本太郎は近代芸術家で、大阪万博の「太陽の塔」や「芸術は爆発だ!」って言葉で有名ですよね。

 

太陽の塔

岡本太郎の作品、森の掟

私は大学院の時に「今日の芸術」という本を読んだことがありました。確か芸術ってなんなんだろ?と当時疑問に思っていて手に取り、「芸術は一部の特権階級のものではない!誰にでも開かれたものなんだから下手でもいいからお前もやってみろ!」というかんじのことが書かれた本でした。元気なおっさんだなぁという印象。こちらもなんか元気になるのでおすすめ。

 

 

 

自分の運命に楯を突け

 

 

さて、今日紹介する「自分の運命に楯を突け」は、当時ベストセラーになった「自分の中に毒を持て!」という本の続編で、当時、若者からの人生の悩みに答える連載をしていた岡本太郎の文章を再編集したもの。実は岡本太郎は18歳~28歳の10年間パリに留学して哲学や民俗学を学んでおり、今回紹介はしないのだがちょっとこれについても書かれている(ここらへんも刺さった)。

以下面白かったところ抜粋。

 

絶望の中に生きるのが面白い

自分に能力がないなんて決めて、引っこんでしまってはダメだ。なければなおいい、いままで世の中で能力とか才能なんて思われていたものを超えた、決意の凄みを見せてやるというつもりでやればいいんだよ。  自分で勝手にあきらめて、無難な道を進んで、そのくせ、もしあのときあきらめずにやりたかったことをやっていれば、なんて一生、恨みったらしく未練を残している。そんなの、つまらないじゃないか。

岡本 太郎. 自分の運命に楯を突け (p.9). 株式会社 青春出版社. Kindle 版. 

岡本太郎がすべての著作で一貫して言ってるのが「だめだからこそやれ!うまくやろうとするな!」ということである。才能があるかないかは関係ない、できるかどうかは分からない絶望の中、それでも体一貫で飛び込むんだ!だから美しい!というのである。これが自信が完全に消え失せた私に刺さった・・・。「自分は駄目だ」とウジウジして漫然と生きることが悪でありできるかどうかわからなくても何かに向かって打ち込む、夢中になることが人間として生きるということらしい。得意なことで勝負しろ!ちゃんと戦略を立てて慎重に行け!というのが「孫子の兵法」などでも述べられている最近の風潮だが全く逆である。いっそ清々しい。

 

他人の目なんか気にするな

一本スジが通った人間は、自分をごまかしたり、時代にあわせて妥協したりしない。自分の生き方をつらぬくためには、他人の目なんかいっさい気にしない。

岡本 太郎. 自分の運命に楯を突け (p.21). 株式会社 青春出版社. Kindle 版. 

岡本太郎はスジを通すということを繰り返し述べている。時代に合わせて自分をごまかしたりしないで、自分の価値観に基づいて強烈に生きるということが大事らしい。もちろんそんなことをしたら成功できなさそうだが「成功なんて気にするからだめなんだ!」と猛烈に怒っている(正直めっちゃ成功している岡本太郎に言われても・・・という感じも少しするが... )。スジを通そうとすれば周りから抵抗にあう、しかし自分のスジは通したい、その中で格闘しながら生きることが大事なんだと言っている。ここらへんも「嫌われない勇気」とかとは全く逆である。嫌われてなんぼである。かっこいい。。。しかしその一方でデリカシーについて以下のような記述もある。

 

デリカシーを持て

自分のスジを通そうと思ったら、逆にデリケートに相手の気持ちをつかんでいかなければならない。両親のいうことと対立したことをやる場合もそうだ。  自分はますます繊細な気持ちになって両親の気持ちをつかみ、親も生かし自分も生きる。両親よりもっともっと成熟しているべきだ。  人生で本筋を通そうとすればするほど、どうしたって一般の常識とは対立する。このときデリカシーをもってその対立を逆に生かしていけば、お互いの生き方が生きてくる。

岡本 太郎. 自分の運命に楯を突け (p.63). 株式会社 青春出版社. Kindle 版. 

あれだけ好き勝手しろ!と喚き散らしているのにいきなりデリカシーの話になって笑ってしまった。ウケる。自由すぎる。太郎いわく、他人と生き方をぶつけ合う中でそれでも他人を否定せずに生きるためには、強烈なエゴを持つ一方で同等のデリカシーを持つことが大事ということである。まぁそりゃそうだよな。周りを敵にせず、自分は自分で生きる。ここらへんは大衆受けがよかった岡本太郎の世渡りのうまさが出ているところだと思う。強烈なメッセージを持つ一方でなんだか矛盾しているようなこともいう、ここらへんも岡本太郎の魅力である。

 

人間、岡本太郎のパワーがとにかくすごい

 

とにかく言葉一つ一つのパワーと熱量がすごく読んでいるとなんだか力が湧いてくる。永遠に岡本太郎に怒鳴りつけられてるような強烈な読書体験で面白い。。カフェインマシマシのエナジードリンクを一気飲みしているような爽快感がある。全く岡本太郎を読んだことない方は「自分の中に毒を持て」がおすすめです。(3部作の1作目)

私もうじうじ考えてないでとにかく一瞬一瞬を最高のものにして未知の世界に飛び込んでやろう!という気になりました。辛くなったら読み返そ。頑張るぞ。